ポット

電気ポットを普通のエアポットに替えればかなりの省エネが期待できます。電気ポットと言うのは電気でお湯を沸かして電気で保温するという代物です。

 なぜ電気ポットが問題か。それは電気でお湯を沸かすから。電気は家庭に届くまでの、発電、送電でかなりのエネルギーを失っています。化石燃料を燃やして火力発電で60%、送電で10%、あわせると
(1-0.6)×(1-0.1)=0.36 
 火力発電ではもとの36%のエネルギーになっています。
また、炭素換算1kg分の二酸化炭素を排出する場合、都市ガスではでは72MJのエネルギーが使えますが、電力では30 MJのエネルギーしか使えません。熱を発生させる用途には電力よりガスのほうが2.4倍も効率が良いのです。

 下の表は電気ポットを使ってお湯を沸かした場合とガスで沸かした場合を比較したものです。

容量 湯沸かし時
消費電力
保温安定時平均
消費電力
沸騰までの時間
(水温20℃時)
必要エネルギー
(理論値)
消費電力 消費エネルギー エネルギー効率

2.2L

870W

32W

約16分

737kJ (176kcal)

232Wh

835kJ (199kcal)

88%

3.0L

1200W

46W

約16分

1005kJ (240kcal)

320Wh

1152kJ (275kcal)

87%

4.0L

1200W

50W

約21分

1340kJ (320kcal)

420Wh

1512kJ (361kcal)

89%

5.0L

1200W

55W

約26分

1675kJ (400kcal)

520Wh

1872kJ (447kcal)

89%

 

容量 電気料金(1kWh 23円) やかん+ガス中火の場合のガス料金 二酸化炭素排出量 やかん+ガス中火の場合の二酸化炭素排出量 何時間の保温で1回の湯沸かしにあたるエネルギーを消費するか

2.2L

5.3円

3.1円

102g

66g

7.3時間

3.0L

7.4円

4.2円

141g

90g

8.0時間

4.0L

9.7円

5.6円

185g

120g

8.4時間

5.0L

12.0円

7.1円

229g

150g

8.5時間

S社カタログのデータより作成(excel版データはここ)、沸騰までの時間が正確でないので2-3%の誤差がある。 二酸化炭素排出量は 電力1kWh当たり 0.44kg(炭素換算0.12kg)としている。
  ガスに関してはここを参照 (上のデータは始めの水温を考慮して補正してある。)

これをみると明らかにガスを使ったほうが二酸化炭素排出量が35%位少なく、料金も40%位安いことがわかる。例えば、毎日2回3Lのお湯を沸かしたとすると料金は2117円の差が出る。

節電モードは得ではない。

 電気ポットの特徴に保温が挙げられるが、これは30-50Wの電力を消費して保温している。上の表を見ると8時間保温すれば1回沸かしたのと同じだけの電力を消費する。最近は節電のために使われていないときや夜間に60℃で保温する節電モードなるものがある。
 一方、魔法瓶構造のエアポットの場合、消費電力は0である。保温能力は例えば、象印の2.2リットルのものでは95℃くらいのお湯が室温20度位で76℃以上に保っているのが10時間、60℃以上に保っているのが24時間、ついでに冷たいものを入れれば保冷もできる。もっと熱いお湯が必要なときは必要な分をやかんに移して沸かし直せば、すぐに沸く。エアポットがない場合は大き目の魔法瓶の水筒も有効。
 エアポットは60℃以上に保っているのが24時間なら電気ポットの節電モードで電力を使って同じ60℃に保温する必要があるだろうか?
 経済的に考えると2.2Lを10時間保温で7.4円、エアポットに入っている76℃のお湯2.2Lをガス中火で沸かしなおすと0.9円かかる。また、節電モードでは通常の半分くらいの電力消費だそうだから3Lを24時間保温すれば11円、エアポットなら0円。

ガスとエアポットが一番お得

 毎日2回3Lのお湯を沸かし、電気ポットではずっと保温を続け、ガスで沸かした場合はエアポットで保温して2回沸かし直したとすると、年間の料金は電気ポットでは13400円、ガス+エアポットでは3700円。なんと、3.6倍も違い、1万円の差が出る。
 さて、この1万円を何に使いたいですか?

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