1.ねっつぃとアリさん

ねっつぃ君は男の子です。今、おじいちゃんの家に遊びにきています。ねっつぃ君は大好きなおじいちゃんと一緒に散歩に行きました。散歩の途中で、ねっつぃ君はアリさんが歩いているのを見つけました。
「アリさん、アリさん、どこ行くの?」
ねっつぃ君は聞きました。
「教えて欲しかったら、食い物をよこしな。」
アリさんはこう答えました。
「えー、何で?」
ねっつぃ君は不思議そう。
「自分が何かして欲しかったら、相手にも何かしてあげるもんだ。ただで何かしてもらおうなんて、甘いぜ。それが世の中ってもんだ。」
アリさんはねっつぃ君に説教したのです。ねっつぃ君は教えてくれないのに怒って、アリさんを踏んづけました。
「ぐわっ。」
アリさんぺちゃんこ。それを見ていたおじいさんは言いました。
「こら、ねっつぃ。生き物を粗末に扱っちゃいかんよ。一寸の虫にも五分の魂といって、小さな虫でも、ちゃんと一つの命を持っているのじゃ。」
ねっつぃ君はおじいさんの言うことは素直に聞きました。
「うん、わかった。アリさん、ごめんね。死んじゃったけど、世の中のことは覚えておくよ。」

 色んなことを学んだねっつぃ君は、おじいちゃんの家に帰りました。ねっつぃ君はおばあちゃんの作ってくれるお茶が好きでした。
「はい、お茶ですよ。」
おばあちゃんは、ねっつぃ君にお茶をくれました。
 しかし、ねっつぃ君はアリさんのことを思い出しました。
「おばあちゃん、僕は、お茶をもらったけれど、僕はおばあちゃんに何かあげなくてもいいの?それが世の中ってもんでしょ?」
あばあちゃんは言いました。
「おばあちゃんは、ねっつぃがお茶をおいしそうに飲んでいるのを見るだけでいいのよ。」
「そうか、このお茶はただなんだ。」
「そうよ、ただ茶よ。」
「わーい、ただ茶、ただ茶。」
ねっつぃくんはただ茶が大好きになりました。


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