傾きが負

〜known secrets and unknown common senses〜
第2話

 ある日、美夏のもとに郵便が来た。それは、以前に受けた模試の結果だった。美夏は封筒を恐る恐る開けてみた。
 美夏は目を疑った。予想外に成績が良かったのだ。美夏の志望する大学の判定は合格圏内を示すBだった。美夏はこの喜びを母にも伝えようと、一度は思ったが、過度に期待されると困るので内緒にすることにした。
 翌日、登校中にいつものようにメールのやり取りをしていると、友人の里子が学校に着いたらいいことを教えてあげると打ってきた。美夏はそれが気になり、想像を繰り返しながら学校に向かった。
 教室に入ると、里子がにこにこしながら駆け寄ってきた。
「じゃーん。」
 里子は手に持っていたものを美夏に見せた。それは美夏と里子が大好きなロックバンドのコンサートチケットだった。美夏はそのバンドのCDは全て持っていて、勉強しながら毎日聞く程好きだった。
「それ、どうしたの?」
 美夏は驚いて言った。
そのチケットは里子が偶然金券ショップで見つけたものだった。
「ちょっと、遠いけど美夏も行くでしょ?」
「……もちろん。」
 そのコンサートに行くと休日が丸ごとつぶれて勉強する暇がなくなるのだが、模試の成績が良かった美夏は自分へのご褒美に行ってもいいだろうと思った。
 コンサートの前日の夜、美夏は次の日のことを想像すると興奮してしまい、なかなか寝入れなかった。美夏は模試の前の日も眠れなかったが、そのときとは全く違う想いが頭の中を駆け巡っていた。そう、幼稚園の時に親子で初めて動物園に行く前の夜に感じたものに似ていた。
第3話
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