awareness

 そのことに気付いたのは突然大雪の降った夜だった。正しく生きていくこと、それだけのことをするのにどけだけの力が必要かということを。あらがわずに受け入れてしまえば、楽にいられるのに、拒みつづけることで身をすり減らせなければならない。積もりつづける雪を無心で踏みしめながら、灰色の世界を眺めていた。そんな思いは人を信用することを制限してしまった。どこまでも信じて尊敬できる人の存在の可能性さえ見えなかった。しかし、孤独な領域を守り続けていたものの、一方で拒絶せずに全てを受け入れることができるものを求めていたのかもしれない。
 私の心を揺さぶったものはそれ自体が闇に覆われていた。薄暗くてよく見えなかったからなのかも知れない。拒むことを忘れた私は不器用にではあるが、守ることを覚えた。ただそれが目の前にある必要なことだったから。全てのものを見ないで済んだ一方で、時は構わず流れていた。そして、再び広い世界を見ることができたとき、私は本当に正しい生きるためには目を背けずに真実を見ることが必要であることを知った。
第20話
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