unfortunate snow

「自分の人生のことは自分でよく考えて、自分で決めるもんだ。他人が相談に乗ってくれたとしても真剣に考えられるのには限度がある。結局のところは、自分と他人は違う人間なんだ。それだけは覚えていてくれ。」
 と言い残して彼は去って行ってしまった。
 私は集団への帰属感と平穏な毎日に安心感を得ていたのだろう。しかし、その状態はそう長く続くものではないことはわかっていた。私は変化の波にさらされることがわかっていながらも心が乱れされることを恐れてその準備を怠ってきたのではないかと思い始めていた。彼は今という時間に安住せずに自ら変化を選び取ったのだ、そう思うと、何だか彼がうらやましくなってきた。
 それから、私は自分の置かれている状況とその先にあるものをおぼろげながらも意識するようになった。そして、私の心の奥にある絶望と願望の欠片は日に日に大きくなっていった。
第10話
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