shady way

 未来を目指して生きていたものにとって、今を生きるしかないという状況はどう感じられるのだろうか。光へ向かって、そこへ辿り着くための努力に生きていく価値を見い出していたのに、それを完全に見失ってしまった人々。ただ、持て余す時間をもがき続けるのか、何も見ようとせずじっと座っているのだろうか。今を楽しむことが出来ることも知っているはず。しかし、ただ、楽しんで過ごした時間がどれだけ自分の人生の価値として積み上がっていくのだろうか。昔してきた努力のように、着実に光に近づいているという満足感、人生の目標へ歩を進めているという実感が得られるのだろうか。
 何もしなくても時間は過ぎてしまう。見失って、何をすべきかすら見つからない中で振り返ると何も変わらない自分がいて、足踏みしているというよりむしろ後退しているのではないかとも感じられてしまうのだ。光へと続く道筋を見つけられなければ、何かを真剣にすることすらできないまま日々虚無感を抱えながら過ごしていくのだろう。
 何も見つける必要のない今を楽しむ楽天的な人間として生きていくか、光を見つけてそこへ向かって走り続ける生き方をするのか。迷いながらただ、時間を見送っているのか。不可逆な道に入ってしまったら戻れないかもしれないが、選ぶのは自分自身だ。
第34話
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