tired potential
彼はやみくもに努力をし続けることしかできなかった。見つけた壁を乗り越えることが少しであっても未来へ近づくことだと信じていた。壁を越えてはより高い壁を目指した。そして、それに費やす労力も次第に大きくなっていった。一度でも壁を越えられなかったら、そこで止まってしまうことを予期しているかのようでもあった。ある人は、疲れきった彼にこう言った。
「もういいじゃないですか、このままでも。決して悪い道じゃないと思いますよ。」
「いや、悪くはないではだめなんだよ。望むものがあったら、それを目指すべきだろ。可能性をそのまま見送ったら、一生後悔するよ。君にもあるはずだ。」
「可能性があっても、これっぽっちじゃ…。」
「自分を過小評価してないか。本気でやってみてからでないと本当のところはわからないよ。」
第28話
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